BNCケーブルとよばれるケーブルをご存知でしょうか?一般的にはあまり耳馴染みがないかもしれませんが、電気関係の分野に触れたことがある人はこれまで耳にしたことがあるかもしれません。ここでは、BNCケーブルとはどういったケーブルなのかということと、伝送規格の一つであるSDIに焦点を当て解説をしていきます。この記事を読んで、BNCケーブルやSDIについて知識を深めていきましょう。
BNCケーブルとは?
BNCケーブルのBNCとは?
BNCケーブルのBNCですが、Bayonet Neill Concelmanの頭文字を取っており、BNCケーブルは、映像や音声といったデジタル信号を送るためのケーブルのことをいいます。ケーブルには、太さのちがいにより3Cや5Cといった種類が存在します。
BNCはコネクタの種類のことで、バヨネットロック式同軸コネクタの一つです。同軸ケーブル用のコネクタ形状の一つとも言い換えることができます。
BNCケーブルには、後ほど詳しく解説するSDIという種類の信号が流れます。
BNCケーブルの特徴
先ほどBNCケーブルは、映像や音声といったデジタル信号を送ることができるケーブルであると解説しましたが、SDIケーブルなどとよばれることもあります。
これには、SDIとよばれる信号が流れるため、このようなよばれ方をします。
また、ケーブルの太さには3Cや5Cといった太さの違いがありますが、この太さを表されることから、3Cや5Cなどとよばれることもあります。
さらに、すべてのBNCケーブルが該当するわけではありませんが、流すことができる映像の種類によって12G-SDIケーブルなどとよばれることもあります。
BNCケーブルにはさまざまなよばれ方をするため、誤解がないよう注意をしましょう。ただ、一般的にはBNCケーブルとよばれることが多いです。
BNCケーブルには用途によってタイプが異なり、無線用に使うのであれば、50Ω(オーム)のものを、テレビなどの映像用途であれば75Ωのものが使われます。
BNCコネクタとは
先ほど、BNCとはコネクタの種類のことを指すとお伝えしましたが、ここでは、あらためて「BNCコネクタ」とはどういったものなのかについて解説をします。
BNCコネクタとは、同軸ケーブルにおけるコネクタ形状の一種で、操作が簡単で着脱も容易にでき、ねじ切りなどを行う必要がなく固定できるタイプです。
一般的には、映像関連の機器や通信機器、計測機器などに多く使用されています。
BNCコネクタの構造について解説すると、位置をレセプタクルのガイドに合わせて差し込み、先端にあるリングの部分を少し回転させてあげることでロックされ、内蔵されているバネによってしっかり固定がされます。また、反対方向に回転させると、すぐに取り外すことが可能です。
この構造・仕組みのことを、バヨネット機構とよんでいます。
BNCコネクタは、細めのケーブルに向けたコネクタとなっており、一般的には50Ωと75Ωのものが広く認知されています。
50Ωのものについては、主に電力を送る送電用として、75Ωのものについては、信号を伝送するために使われています。
SDIとは?
先ほど、BNCケーブルの説明の中でSDIについて少しだけ触れましたが、ここではSDIを深掘りして解説していきます。SDIとはどういったものなのか、また存在する規格について解説をしていきます。
SDIって何?
SDIとは、Serial Digital Interefaceの頭文字をとっており、主に放送や映像などを扱う業界で使用されるインターフェイスのことを指します。
映像信号の伝送が可能なインターフェースで耳馴染みのあるものとしては、PC関連機器などでも使われることの多いHDMIではないでしょうか?PCなどにもともとHDMIを差し込めるポートが設置されているケースも多く、近年ではUSB Type-Cを経由して映像信号を送るケースも見受けられます。
ただ、HDMIでは、伝送可能な距離が5メートル程度と限られており、これを解消するためには、光ファイバーケーブルを使うか、SDIを使うことで、長い距離を伝送させることが可能になります。
SDIは、テレビ中継や放送などを扱う業界で広く支持され、長い歴史があり、数十メートルから数百メートルといった距離でも信号を伝送することが可能なのです。
SDIについて詳細を説明すると、SMPTEとよばれ米国映画テレビ技術者協会で規定されている規格のことで、非圧縮の状態のデジタルビデオ信号を、1本の同軸ケーブルで伝送することが可能なインターフェースなのです。
ユーザーにとってのメリットは、わずか1本のケーブルで接続ができるということと、ネジを用いなくてもロックすることが可能なBNCコネクタが採用されているため、ケーブルが抜け落ちてしまう心配がないロック機構を備えていることです。
仮にケーブルが抜け落ちてしまうと、TV中継などでは放送事故となってしまいます。
HDMIと比較した場合、HDMIにはロック機構が備わっていません。また、ケーブルの線の数も8本と多く必要になります。最大の違いは、伝送可能な距離で、HDMIは数メートル程度しか伝送することができませんが、SDIでは数十メートルから数百メートルの長距離を伝送させることが可能なのです。
放送局の現場では、スタジオから編集室までをケーブルで繋ぐ必要があり、これを実現するためには、数百メートルもの距離を要するケースも多々あります。
SDIの規格はいくつか存在する
SDIの規格については、種類がいくつか存在します。それぞれ解説していきます。
・SDI(SD-SDI)
まずは、無印のSDIあるいはSD-SDIについて説明します。こちらはスタンダードデフィニッションとよばれ、標準画質のタイプです。
SD-SDIの信号では、コンポジット信号もしくはコンポーネント信号といった信号を伝送することができます。伝送速度としては、コンポジットの場合だと143Mbps、コンポーネントの場合だと240Mbpsになります。
・HD-SDI
次にHD-SDIですが、これはハイビジョン放送に適応したタイプのものです。
HD TVの映像を伝送するために必要な規格がHD-SDIです。
先ほどのSD-SDIと比較した場合、HD-SDIでは速度が1485Mbps出るようになるため、かなり伝送速度は速くなっています。
このHDですが、ハイディフィニッションを指しており、720pや1080iといった映像を送ることが可能になりました。
・3G-SDI
次に3G-SDIというものを説明するのですが、これはHD-SDIよりも後に誕生し、3Gbpsを1本のケーブルで伝送することが可能になりました。
これが誕生したことにより、1080p60と表記される、1080pおよびフレームレート60といった映像が伝送可能になったのです。
さらに、ここからデュアルリンクとよばれるHD-SDIとの互換が可能なレベルBとよばれるものやレベルAというものが誕生し、SDI信号においてもLevelAやLevelBとよばれる規格が誕生しました。
・6G-SDI/12G-SDI
その後誕生したのが、6G-SDIや12G-SDIといった規格です。それぞれ説明すると、ケーブル1本で、6Gbpsを伝送可能なのが6G-SDIで、12Gbpsを伝送可能なのが12G-SDIになります。
近年は、4Kの映像を扱うことも増えてきていますが、6G-SDIでは4K30pの映像を伝送することが可能で、12G-SDIでは4K60pの映像を伝送することが可能になりました。
映像は時代が流れていくにつれて、美しくなっていった歴史があります。
映像が美しく綺麗になっていくほど、データ量は大きくなりそれに伴ってケーブルの企画も進化させる必要があり、対応する規格は変わってくるのです。
まとめ
ここまでBNCケーブルやSDIに焦点を当て解説をしてきました。基本的な概要や仕組みなどについて理解できたでしょうか?BNCケーブルやSDIについては、専門的な分野なので一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、電気関係の分野に興味がある方にとっては役立つ内容だったのではないでしょうか?
この記事で紹介した内容を参考にしつつ、BNCケーブルやSDIについて今後も知識を深めていきましょう。